ふくいの遺言・相続手続き相談室がみなさまの疑問にお答えする「教えて!ふくいの相談室」。
今回は「遺産分割について」についてお答えします。
遺産分割とは
被相続人(亡くなった方)の遺産をどのように分けるのかを決めることです。
相続人が複数いる場合には、いったん相続人の共有になっている遺産を分割して、最終的な帰属を決定するための手続きのことを遺産分割といいます。
民法:第八百九十八条(共同相続の効力)
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。
法定相続分とは
法定相続分とは、相続人が2人以上いる場合の各相続人の相続割合のことです。
民法で次のように定められています。
- <配偶者と子供が相続人の場合>
配偶者:2分の1
子供(2人以上のときは全員で):2分の1 - <配偶者と直系尊属が相続人の場合>
配偶者:3分の2
直系尊属(2人以上のときは全員で):3分の1 - <配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合>
配偶者:4分の3
兄弟姉妹(2人以上のときは全員で):4分の1
法定相続分を変えたい場合は?
遺言書があれば、遺言の記載どおりに遺産を分けることになりますが、遺言書がない場合等には、民法で定められた相続人全員で、どのように遺産を分けるかを自由に話し合いで決めることができます。
この相続人全員での話し合いの事を「遺産分割協議」、その協議内容を書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。
例えば、相続人全員で均等に分け合う事、各種遺産について相続人毎に分け合う事、一部の相続人には遺産を与えない事もできます。不動産は長男へ、預貯金は長男以外の子供が均等に分け合うなどと自由に決めることができます。
相続人の一部を除外したり、相続人ではない者を加えてなされた遺産分割は無効となりますので、ご注意下さい。
遺産分割の当事者として、相続人全員のほか、包括受遺者や相続分の譲受人、遺言執行者が含まれます。
なお、被相続人から生前に特別の財産的利益(特別受益)を受けていた者や財産の形成や維持に特別の寄与(寄与分)をした者がいる場合には、相続人間の不公平を計算上生じさせないように決めることが必要となります。
民法:第九百六条(遺産の分割の基準)
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
第九百九条(遺産の分割の効力)
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
「遺産分割協議書について」
民法上の法定相続分の割合以外の方法で遺産を分割した場合に、それを証拠として残しておくものです。協議内容を書面にして、相続人の全員が実印を押印して(印鑑証明書付き)遺産分割協議書(証明書)を作成します。
各種相続手続きをする場合に対外的に証明する証拠として、この遺産分割協議書(証明書)が必要となります。

☆ 法 改 正 情 報 ☆
遺産分割協議には法律上の期限はありませんが、
令和5年4月1日改正により、
相続開始から10年内に遺産分割協議を成立させることができない場合は
原則として、特別受益や寄与分の主張ができなくなり、
各相続人が法定相続分で取得することとなります。

遺産分割について分からない事や相続人間で遺産の分け方に争いがない場合には、必要書類の事や遺産分割協議書の作成などについて、私たち行政書士にぜひご相談下さい。お待ちしております。