困らない! 戸籍の読み方

戸籍

 ふくいの遺言・相続手続き相談室がみなさまの疑問にお答えする「教えて!ふくいの相談室」。
今回は「戸籍の読み方」についてお答えします。

 まず、相続手続きで必要になるのが戸籍になります。昔の戸籍ってすごく読みづらくて、困りますよね。
現在はコンピュータ化されて見やすくなりましたが、一体何が記載されているのでしょう。今回は、戸籍の仕組みや記載事項などについて簡単に見ていきましょう。

1.戸籍の歴史について

 明治5年(1872年)2月1日に日本初の全国統一された戸籍が作られました。明治5年式戸籍といいます。この年の干支は壬申(みずのえさる)の年であったので、「壬申戸籍」とも呼ばれており、家屋を単位として編製され、本籍は住所地と定められていました。

 次に、明治19年式戸籍ですが、現在取得できる戸籍の中で最も古い様式となっており、戸主を中心として記載されたものです。

 明治31年式戸籍や大正4年式戸籍のことを「旧法戸籍又は戦前戸籍」といいます。
戸主と家族からなる「家制度」が重視されていましたので、戸主を中心として、戸主の親、妻、子、子の配偶者、孫、兄弟等、戸籍には大勢の親族が記載されていました。


 家督相続によって、新しい戸籍が編製されることが多く、旧法戸籍には、戸主、女戸主、隠居、庶子(しょし)、婦(ふ)、入夫婚姻(にゅうふこんいん)、婿養子縁組、家附の継子(いえつきのけいし)、廃家(はいか)、分家(ぶんけ)、一家創立(いっかそうりつ)などの記載があり、何??となってしまいますね。

民法・戸籍法の改正(昭和22年)
昭和23年以降の戸籍は、「一の夫婦及びこれと氏を同じくする未婚の子」をひとつの単位として編製されることとなりました。これが「現行戸籍」となります。

2.戸籍の種類について

 戸籍には、次のような種類があります。
①戸籍謄本(全部事項証明書)
②戸籍抄本(個人事項証明書)
③除籍謄本(じょせきとうほん)
 戸籍を編製していた構成員が全員いなくなり閉鎖されることを消除といい、消除された戸籍を除籍といいます。
④改製原戸籍(かいせい げん こせき)
 現戸籍(げんこせき)と音が紛らわしいため、一般的には、「原戸籍(はらこせき)」と呼ばれることが多いようです。 
 戸籍の改製とは、法律や命令の改正に伴い新しい様式に全て作り替えることです。
 昭和23年の法改正による改製、昭和32年と平成6年の法務省令による改製が行われています。
 現在は戸籍のコンピュータ化により、戸籍の様式や名称も改められ、縦書きから横書きになり、戸籍謄本は①全部事項証明書と戸籍抄本は②個人事項証明書といいます。

3.戸籍の記載について

筆頭者(戸主ではありません。)です。
①本籍欄と筆頭者の氏名欄
②新戸籍の編製事項
③氏の変更事項
④転籍事項
⑤戸籍全部の消除事項
⑥戸籍全部に係る訂正事項
⑦戸籍の再製又は改製の事項

4.戸籍の身分事項欄について

出生から死亡までの次の身分事項が記載されています。
①出生に関する事項
②認知に関する事項
③養子縁組又はその離縁に関する事項
③の2特別養子縁組又はその離縁に関する事項
③の3離縁の際に称していた氏を称することに関する事項
④婚姻又は離婚に関する事項
④の2離婚の際に称していた氏を称することに関する事項
⑤親権又は未成年者の後見に関する事項
⑥死亡又は失踪に関する事項
⑦生存配偶者の復氏又は姻族関係の終了に関する事項
⑧推定相続人の廃除に関する事項
⑨入籍に関する事項
⑩分籍に関する事項
⑪国籍の得喪に関する事項
⑫日本の国籍の選択の宣言又は外国の国籍の喪失に関する事項
⑬氏の変更に関する事項
⑭名の変更に関する事項
⑮就籍に関する事項
⑯性別の取扱いの変更に関する事項

 今回は以上となります。現在の戸籍は、「一の夫婦及びこれと氏を同じくする未婚の子」をひとつの単位として編製され、コンピュータ化された事によりかなり読みやすくなりました。
 次回は戸籍の全部事項証明書の記載事項について、一つ一つ見ていきましょう。

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